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2005.08.14 Sun

ERASER【短編小説】 [BLMオリジナルエッセイ/コラム]

運動会の応援団リーダーが誰になるか。それは毎年重要なことだった。選手宣誓に三三七拍子。カッコよくて性格やノリいいリーダーのチームはやたら盛り上がり、放課後の居残り練習がみんな楽しみで仕方ないくらいだった。…そして逆につまらないリーダーだと、運動会の練習期間全部がつまらなくて、横目で盛り上がってるチームを羨む…4年生の時がまさにそんな感じだった。その時に横目の先でリーダーをしていた6年生の男の人がカズトの目にはめちゃめちゃカッコよく映り、なんとなくカズトはその頃から「応援団のリーダー」に憧れていたのだった。

「おい、カズ、水拭きダッシュやっちゃうぞー!」
「あっ俺今日ピストル係ー!」
「はぁー?ずりーよお前昨日もだろーっっ!」
「うるせーなっ!位置についてよーイ…どんぶり。」

水拭きダッシュは疲れるし。乾拭きダッシュは好きだけどさ…
そんなことより、今日はリーダーの発表の日のはず。
カズトは放課後の帰りの会の時間までそわそわしていた。

「応援団のリーダー」は毎年、6年生から各クラス男女1名ずつ選ばれる。チームは縦割り。今年は全学年綺麗に3クラスずつあって、1組が青、2組が黄、3組が赤だ。しかし高山小学校には運動会にまつわる「青の呪い」というのがある…もちろんそんな呪いはないって、さすがに6年生にもなれば分かったけど、でもやっぱり開校以来青組は一度も優勝したことがなかった。



「あぁぁ。よりによって記念すべき小学校生活最後の運動会で、どーして『青の呪い』に邪魔されなきゃいけないんだぁぁぁ…」
雑巾をカズオは右手で後ろ回しに大きくぐるぐる振り回した。と、何かにポスっと当たった。やべぇ。

「イタッ。ちょっとカズー!顔当たったでしょー!」

あー間違った奴に当てちゃった、とカズトは思った。

「雑巾が痛いわけねーだろ。わざとじゃねーしー」
「当てといてごめんなさいくらい言えないのっっ!!!??」
「あーすいませんでしたぁー。」
「何その言い方!…ていうか何で雑巾乾いてんの?あんたまた水拭きサボったでしょ!!!」
「お前だってやってねーじゃん。」
「女子は今日ほうきの日だもん。」
「ずりーんだよ女子ばっか楽な方やってー。」
「はー?順番だから同じじゃん!ちょっとー!!!!」
「はいはい。ごーめーんーなーさーいー!」

美香のことはどーも好きじゃない。いや、嫌いでもないんだけど、っていうかうちの母ちゃんみたいで苦手だ。やれ机がちょっとズレてるだ、静かにしろだ、遅刻するなだ、挙句の果てにはこないだなんか給食の時間に「何でかぼちゃ残すの?」と言って泣かれた。泣かれた…って、いや、マジに涙出してた。そこまでくると意味わかんない。完ぺき主義もいいけど人に押し付けるなよなーと思う。そう、美香は勉強もスポーツもいつもトップクラスで友達もたくさんいた。そしてどの先生にもすごく気に入られていた。…俺は気に入らないぞ。あの性格何とかしてもらいたいよ。いや、性格も悪いわけじゃないんだけど、少々…多々口うるさい点が問題。先生から見たらすごくまじめで一生懸命って思うのかな。だとしても人の給食のかぼちゃで泣くなよな。しかもやたら俺ばっかりターゲットにして突っかかってくる気がするし。俺が運動会の男子の応援団リーダーになれたとしても、こんな奴がもしのもし女子のリーダーなんかになっちゃったら、絶対うまくいかねーし…それこそ青の呪いの思う壺なんじゃねーの?!



そんなカズトの心配の、半分の方は、いらなかったようだ。

「今年の我が青組リーダーは弘樹と美香だ。よろしくな。」

分かっちゃいたけどさ…我が担任の堀ちゃん先生が選ぶんだもんなリーダーってさ、勉強とかさ、掃除とかさ、きちんとやる奴が選ばれるんだもんな、堀ちゃんって弘樹のこと気に入ってるしさ、そりゃそーだよな…足速いだけで脳みそない奴はダーメなんだよな…

「…で、おいっカズ!また先生の話聞いてないだろー^^。よろしくな!」

カズは何のことか分からなかった。
「…へ?堀ちゃん、もっかい言ってー…?」
「おい^^期待してるぞ!選抜リレーのアンカー!!!」


下校途中後ろから誰かが走って来た。我が青組リーダー就任、弘樹だった。
「あぁあーやっぱりカズに持ってかれたよー!」
弘樹は笑いながらカズトのランドセルにのしかかって来た。
「ててて…重たいって!…持ってかれたって?」
「ばーか、アンカーに決まってんだろ!もちろんリーダーも嬉しいけどさ、選抜リレーってプログラムの最後で得点高いじゃん、ここで一位でゴールして優勝したら間違いなくヒーローじゃん!!」
「…おう。お、おう、だよな!そうそう!」

そうなのだ。選抜リレーのアンカーは毎年超目立つし勝てば大ヒーローになれるのだ。リーダーもいいが、よく考えたら、リーダーって応援の振り付けを考えたり1年から6年までをまとめたり、資料を作ったり、結構忙しくて大変だ。それに比べてアンカーは、とにかくその時速く走って1位ならヒーローになれるのだ!それだけでいいのだ!!!カズトは自分を「足だけは速い子」に産んでくれた親に初めて感謝した。

「母ちゃんありがとうっ!!飯うめーよぉぉぉっ!」
「はいはい、毎日そう言ってくれると嬉しいけどね!それならかぼちゃも食べてね^^」
カズトの母はかぼちゃの煮た奴をわざとカズトの前に置いた。これの何が旨いんだ…?と、カズトは箸を口にくわえながら、両手でかぼちゃの入ったどんぶりををテーブルの真ん中に戻す。
「こらぁー!箸くわえないっ!!…で、リーダーは誰になったの?」
「弘樹」
「あー弘君!弘君とあんたじゃお母ちゃんだって弘君リーダーに選ぶわよー^^勉強も出来るし礼儀正しいしねぇ」
「うるせーなぁ。」
「あらあら、でも足じゃあんたは誰にも負けないの、お母ちゃん知ってるもの。旗振って応援してあげるからね!」
「やめろよーそういう恥ずかしいことするのっ!!」
「いやね、お母ちゃん嬉しいのよーあんたがそうやって何かに選ばれるのって。うふふ。リーダーになんか選ばれたら町内中に自慢して歩きそうだわー」
「だから恥ずかしいってっっっ!!!」

でもカズトは母の言葉が嬉しかった。とは母の前では言わないけど。だから絶対当日は、ビリでバトンを受け取っても絶対追い抜かして一位でゴールしてやる!と、ご飯粒を噛みしめながら誓った。

その日の夜は、運動会のラストシーンを飾るヒーロー「スーパーアンカーカズト」の妄想を飽きるほど繰り返してるうちに眠れなくなった。正直、今となったらリーダーになれなかったことは全く気にしていない。むしろ弘樹で適任だ。アイツは人をまとめるのもノせるのも上手いし、みんなからの人望もアツい。
…問題は。美香だ。
人望も何故かちゃんとあるし、リーダーとしてはいいんだろうけど…個人的に好かん。あーどうせ、応援練習中もやれ真面目に踊れとか声が小さいとか、まっすぐ並べとか…。。考えるだけでうんざりしてくる。

うんざりしてくると、カズトはすんなり睡眠に入った。




次の日は朝から小雨続きの微妙な天気だった。5時間目の体育の時間にはしっかり雨模様になり、代わりに視聴覚室でビデオ鑑賞会になった。いかにも堀ちゃんが好きそうな、動物感動ドキュメンタリー物語(?)みたいなビデオだった。チータの親子になどまるで興味ゼロのカズトは、エネルギーを持て余しながら、視聴覚室の一番後ろの方で男子数人、ばれないように消しゴムキャッチボール大会を繰り広げていた。視聴覚室ではいつも座る場所はみんな自由だ。チータの母親の奮闘ぶりに心を奪われてる堀ちゃんは、カズトの悪ふざけなど気にも留めていない。

と、その時、大きいフライが飛んできてカズトの頭の上を越えた。

スコン。

後ろの誰かに当たった。すぐカズトは振り返ってとっさに謝った。
「やべごめんっ。だいじょう…ぶ?」

美香だった。
自分がこの部屋の一番隅っこにいたと思ってたさらに隅っこで、美香は一人で体育座りをしていた。怒りもせずただ黙って、当たった消しゴムを拾って握りしめていた。美香の、あまりのいつもとの違い様に、カズトはキャッチボールを中断し思わずひそひそ声で尋ねた。


「…おいっ。お前具合悪いのか?!」

美香は黙って首を横に振った。
困ったカズトは何となく気まずくなり、何か美香の元気が出るような話はないかと考えた。

「…そうだ。…お前、リーダー選ばれて良かったなっ!」

美香がぱっと顔を上げた。と次の瞬間、美香の目から涙がポロポロこぼれだした。カズトは驚いた。泣いていたから…ではなく、美香が怒りながら泣く顔は何度も見たことがあるけど、こんなに悲しそうに泣く美香を初めてみたからだ。

「…ご、ごめん、俺何か言ったっけ…?ご、ご…」

美香がぽつぽつと口を開いた。
「…ううん。…違うの。お母さんがね…お母さんが…」

お母さん?

「お前の母ちゃんがどうかしたんか?」

「…リーダーに選ばれたことを話したらね、…リーダーなんかやったら毎日帰りが遅くなるし、遅くなったらピアノの練習する時間が短くなっちゃうでしょって、…そうお母さんに言われたの。…だけど私はリーダーやりたいって…。したら、『リーダーに代わりはたくさんいるけど、美香のピアノは美香しか弾けないでしょ』って…。だから出来れば他の人に…変わってもらいなさいって…。でも6年最後だから、…ずっと憧れてたから…。選ばれて嬉しかったのに…」

美香が専門的にピアノを習っている事は知っていた、演奏を聴いたことはないけど。どこかのコンクールで賞を取って朝礼で校長先生に表彰されていることもあった。美香のお母さんがピアノ教室を開いていることも知っていた。カズトはなんとなく、昨日の自分の母親の事をふと思い出した。

「お前の母ちゃんは…お前がリーダーに選ばれて嬉しくないの?」
「…。」

また美香が黙ってしまった。あーまたまずい言い方したのかなとカズトは焦りながらも、悩んで悲しんで泣いているのを目の前にしてほっとくことも出来ず、とりあえず思ったことを一生懸命話してみた。

「…えーと、んで母ちゃんに言われて、でもやりたいんなら、やればいいだけなんじゃ…いや、やったらいいと思う…よ?あと…うーんと、リーダーに代わりはたくさんって言うけど、『お前がやるリーダー』はお前しか出来ないんだから代わりはいないの当たり前だし…その…、母ちゃんのいう『美香のピアノは美香しか…』って理屈と同じなんじゃねーの?『美香のやるリーダーは美香しかできない』っていうか…。うーん、母ちゃんもお前が嫌いで言ったんじゃねーと思うし…いや、あの…」

言葉に詰まって完全に沈黙になった。スクリーンに映し出されているビデオの方はクライマックスのあたりらしく、なにやらみんな盛り上がっている。しばらく黙ったままいると、美香は持っていたボールペンをカチカチと、出したり引っ込めたりしながら、本格的に下を向いてしまった。…あぁぁーやっぱり俺は頭悪いなぁ…人の悩みを消すなんて芸当は俺には出来ねーよーこういうとき上手く言葉出ないし、こうなると母ちゃんがいつも言う「漫画読まずに本を読め!」っていうのもなるほどとか思うのになぁ…




急に目の前が眩しくなった。部屋の電気がつき、学習係の子が部屋の暗幕を開けていた。チーターの親子の結末は分からないがビデオは終わったらしい。5時間目終了の時間までまだ五分ほどあったが、早めに授業が終わることも「堀ちゃん先生人気」の理由の一つだった。なんだか雨もそろそろ上がりそうな空だ。

生徒達がそれぞれ仲良しの子と組みになったりして部屋を出る。今日は6時間目がないから、もうあとは教室で帰りの会だけだ。
目の前に座っていた美香が、先にすくっと立ち上がった。明るさに目が慣れずボーッとしているカズトに、見下ろすようにして消しゴムを差し出した。

「はい。」
「…お?ん?何?」
「何じゃないでしょ。あんた取りそこねてあたしの頭に降ってきた消しゴムっ!!!」
「あー。」
「あーじゃないよもうっ。」

さっき見た美香はなんだったのかと思うくらい、いつも通りのうるさい美香に戻っていた。…だよなー、心配しなくてもうるさい美香は健在だよなー。うるさいのは嫌だけど、でもちょっとだけ安心した気持ちになった。カズトは美香から受け取った消しゴムに目をやった。



すると
白い消しゴムには、ボールペンで書いたガタガタの字で
「ありがとう」と書いてあった。







視聴覚室を一人で出て行く美香の後ろ姿に、カズトは消しゴムを投げつけた。

「…おい美香ぁ。」
「あたっ。…馬鹿カズ。」

振り返った美香は笑ってた。カズトはその場から叫んだ。

「青の呪いはぁ、このスーパーアンカーカズ様が必ず解いてやる!」
「あははっ。頼んだよ。応援は任せなさい!」
「っ?!」
「青の呪いはぁ、このスーパーリーダー美香様が必ず解いてやる!」




美香は消しゴムをカズト目掛けて投げ返した。拾ったカズトもまた美香を追いかけて投げ返した。振り返った美香がさっと頭を引っ込めて、上手く消しゴムをかわす。
「あ。」
たまたま開いていた廊下の窓に吸い込まれるように、消しゴムは綺麗に落下していった。二人とも慌てて窓から下を覗き込む。
…用務員のおじさんがニコニコと上を見上げて手を…消しゴムを振っていた。

「やべっ!逃げるぞ!」
「うちらの顔ばれたかなぁっ?!」
「あれ?でもなんで用務員さんニコニコしてたんだっ?!」
「しらなーいっ!!」



5時間目終了のチャイムが校舎に響く。

二人は走ってはいけない廊下を思いっきり走りながら、教室へ戻った。
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